細田昌志
著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

山口洋子は東映ニューフェイスからヤクザの愛人に…

公開日: 更新日:

 山口洋子は1937年5月10日、名古屋市に生まれた。料亭を経営していた資産家の父と、仲居をしていた母との間に生まれた私生児だった。高校を1年で中退すると、名古屋市内に喫茶店「洋子」を開業する。16歳の少女にまとまった開店資金などあるはずもなく、「妻に死なれた50歳ぐらいの男やもめ」が支援者だったことを、後年雑誌のインタビューで明かしている。繁盛していたという店だが、「いくらお店がはやっても、しょせんは他人のお店」と、洋子は3年で経営から手を引いた。パトロンに嫌気が差したのだろう。

 水商売から足を洗った洋子は、1957年、1000人に1人の超難関「東映ニューフェイス4期生」に合格。同期には佐久間良子、山城新伍、室田日出男がいた。同期の佐久間良子は合格してすぐ、東映映画「白蛇伝」(監督・藪下泰司)のカメラテストを受け、翌年「美しき姉妹の物語 悶える青春」(監督・佐伯清)でデビュー。同年「台風息子」で主演の江原真二郎の相手役に抜擢され、雑誌「平凡」の女優人気投票で10位にランクインするなど、早くもスター街道を歩んでいた。

 一方の洋子はというと、いつまで経っても芸者役や通行人役、会社の事務員役などその他大勢の端役しか回ってこない大部屋女優。カフェの女給役が当てられたときには、「なんで、カフェをやめて役者になったっていうのに、ここで女給に舞い戻んなきゃなんないのよ」と癇癪を起こしたという。結局、思ったほど稼げない現実から、たったの2年で廃業している。しかし、その東映時代に数奇な経験をしている。自身を主人公にした私小説の一節である。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    愛川ゆず季が告白「長男の自閉症を隠していたわけじゃない。でも言葉にすごくパンチがあって…」

    愛川ゆず季が告白「長男の自閉症を隠していたわけじゃない。でも言葉にすごくパンチがあって…」

  2. 2
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  3. 3
    中居正広「脱SMAP」成功の裏に“懐刀芸人”あり 自身が仕切る番組の「裏回し」任せ巧みに延命

    中居正広「脱SMAP」成功の裏に“懐刀芸人”あり 自身が仕切る番組の「裏回し」任せ巧みに延命

  4. 4
    愛川ゆず季が2歳で長男の自閉スペクトラム症を確信した“逆さバイバイ” ネット検索で不安のループに…

    愛川ゆず季が2歳で長男の自閉スペクトラム症を確信した“逆さバイバイ” ネット検索で不安のループに…

  5. 5
    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

  1. 6
    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

  2. 7
    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉

    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉会員限定記事

  3. 8
    松井稼頭央監督とは対照的…西武“連勝”渡辺監督代行が見せた「芯ある采配」

    松井稼頭央監督とは対照的…西武“連勝”渡辺監督代行が見せた「芯ある采配」

  4. 9
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10
    “超ハイスペ外国人芸人”アイクぬわら 共演未成年少女「自宅連れ込み」で芸能界から退場か

    “超ハイスペ外国人芸人”アイクぬわら 共演未成年少女「自宅連れ込み」で芸能界から退場か